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研究内容

1抗酸菌に対する免疫応答、新規組換えBCGワクチンの作成

結核は現在においても、重要な感染症です。加えて、近年、非結核性抗酸菌症患者数が増加しています。私たちは新たな組換えBCGを作成し、プライムブースト法により,結核菌や非結核性抗酸菌に対して有効な防御的免疫応答を誘導できるワクチンの開発を試みています。

Komine-Aizawa et al. Eur J Immunol. 2019 Sep;49(9):1399-1414.
Komine-Aizawa et al. Int J Mol Sci. 2023 Jan 4;24(2):966.

母子感染のメカニズム解明

妊娠母体は免疫学的異物である胎児・胎盤を許容しながら、母児共に感染性微生物から身を守る必要があります。妊娠時の感染症は流早産や胎児奇形、妊娠高血圧症候群や出生後の障害の原因となることがあります。母子感染の機序と予防を研究し、あわせて病原微生物由来の免疫調節物質が、新たな習慣流産治療薬となる可能性を研究しています。また風疹ウイルス、ジカウイルス、新型コロナウイルスなどの胎盤感染メカニズムを明らかにする研究も行っています。

Trinh et al. Int J Mol Sci. 2023 Mar 30;24(7):6489.
Takada et al. Placenta. 2022 Sep:127:73-76.

 3 女性生殖器常在菌叢と疾患の関連

女性生殖器には独自の細菌叢が存在し、健康維持や疾患発症に深くかかわっています。腟内細菌叢や近年生殖医療の分野で注目を集める子宮内細菌叢の生体内における役割を研究しています。また近年は女性生殖器と他臓器との関連も新たな関係性が明らかになりつつあり、総合的な観点から検討を進めています。

Yoshida et al. Placenta. 2021 Aug:111:76-81.
Takada et al. Front Immunol. 2023 Jan 31:14:1110001.

4 我が国を含むアジア諸国の小児ウイルス感染症の分子疫学

下痢症ウイルス(ロタウイルス、ノロウイルスなど)感染症は、世界では死亡の多い疾患としその対策が問題となっています。私たちは長年、これらのウイルスの遺伝子レベルでの疫学や診断法の開発(イムノクロマト法、Multiplex RT-PCR法など)を世界に先駆けて行ってきました。これからもアジアの共同研究者とともに、これらの研究に加え、さらにワクチンや治療薬の開発、細菌との同時感染などの研究を続けていきます。

Hoque et al. J Infect. 2023 Feb;86(2):154-225.
Pham et al. Arch Virol. 2023 Aug 16;168(9):231.

5 先天性代謝疾患の病態解析と新規治療法の探索

羊膜上皮細胞は胎生初期の幹細胞と同じ表面マーカーを発現し、三胚葉に分化することから、胎盤由来幹細胞のひとつと考えられています。胎児由来成分であり免疫原性が低いことや、腫瘍原性がないことから、移植治療に用いる細胞の有力な候補と言えます。生まれながらに生体内の物質代謝障害を来たす先天性代謝異常症の新規治療開発を目指し、羊膜上皮細胞の運命決定機構やミトコンドリア輸送能について研究しています。

Takano et al. Stem Cells Transl Med. 2021 Jun;10(6):829-835.
Takano et al. Stem Cell Rev Rep. 2022 Dec;18(8):3083-3091.

 深部真菌症動物モデルの作成と解析

真菌感染症は高齢人口の増加や免疫機能に影響を与える治療法の一般化などに伴い、国際的に対応の必要性が高まっています。私たちは真菌感染における免疫応答や真菌の病原性変化について研究し、真菌感染症の病態解明、ひいては治療への応用を目指しています。